地酒ブームが勃興する前夜、昭和40年代に‟幻の酒”と呼ばれ、すでに愛飲家の垂涎の的となっていた入手困難な酒。戦中戦後の米不足の時代から良い米を選び高精白に徹し、端正な酒造りに励んできた。戦後の高度成長期、甘口の酒が市場を席巻する中で、水のようなきれいな飲み口が評価され、新潟の酒のアイデンティティーといわれる‟淡麗辛口”の礎を築く。新潟のみならず地酒全体の価値を上げ、多種多様な銘柄や製法が注目されるきっかけとなった。現代日本酒の潮流を生み出す契機となった銘柄として、あらゆる観点から見ても「越乃寒梅」を超える存在はないといえるだろう。 意外にも創業は1907年(明治40年)と全国的に見ても新しいが、地元・亀田郷(現在の新潟市江南区亀田地区)の人たちが気持ちよく晩酌で楽しめる酒を届けたい、という地域の飲み手を慮る気持ちが品質志向を貫く原動力でもあった。級別時代の1級酒が規定のアルコール度数15度台よりも、1度高く出荷していたのも、少ない酒でも心地良く酔えるようにという心遣いからだ。かつてはなかなか手に入らない希少性だけに目が奪われる面が強かったが、このような実直さがあったからこそ人々から慕われ業界内でも尊敬を集め、高い評価を得ることができたのである。 酒質は決して派手さはないが、モノトーンの風味の中にもひそやかな旨味が感じられる。奥ゆかしくも気品ある味わいに、ぶれることなく地元に愛される銘酒として在り続けてきた、酒蔵の矜持と良心を見ることができる。(松崎晴雄)
越乃寒梅のクチコミ・評価
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越乃寒梅の酒蔵情報
名称 | 石本酒造 |
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特徴 | 石本酒造は、新潟県の中央部分に位置する亀田郷と呼ばれる場所で1907(明治4)年に創業した。冬になると雪が積り厳しい環境となるが、信濃川や阿賀野川が流れ、豊富な水源など、酒造りには適した環境であった。江戸時代には梅の産地としても有名で、「越乃寒梅」の名は、厳しい冬を超えて春に美しい花を咲かせる梅の木になぞらえて付けられたとされる。第二次世界大戦の頃の国策で醸造用の糖類やアルコールを添加したいわゆる「三増酒」が多く造られる中で、”量”ではなく”質”を追い求め、すっきりした辛口の味わいにこだわり続けた。昭和40年代頃、大手メーカーを中心として”濃醇甘口”の酒が全盛期の中で売り上げが低迷するも新潟県で唯一”淡麗辛口”を出荷していた歴史を持つ。地元の新潟県産米だけでなく、兵庫県志染町の地区で造られる最高級「特A」ランクの山田錦を吟醸酒以上にすべて使用。同地区で造られる米は全量、石本酒造へと出荷されている。時代が変わるにつれ嗜好や流行りが変わる中で、雑誌に掲載され一時は「幻の酒」と呼ばれるなど全国へ知名度が広まっても、創業当時の「人に喜ばれる酒造りをする」というこだわりを変えることなく、いつの時代にも愛される酒を目指し醸している。 |
酒蔵 イラスト |
![]() (加藤忠一氏描画) |
銘柄 | 越乃寒梅 |
HP | 酒蔵ホームページはこちら |
所在地 | 新潟県新潟市江南区北山847−1 |
地図 |
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