黒龍 純米吟醸 「純吟三十八号」
山田錦100% 麹米50% 掛米55%
酒蔵にて熟成された穏やかな酒。
上立ち香は、控えめな麹っぽい甘い香り。含み香に特徴があり、旨味の後、後半からかすかなセメダインぽい香りが口中に漂い、それが独特のキレをもたらしている。軟水仕込みの穏やかで滑らかな酒質なので、熟成によってともすれば「甘ダレ」が起こりやすいが、含み香がうまく作用している。
しかし、黒龍に共通する評価の分かれ目として、濾過があると思われる。熟成をへてもカラメル臭がほとんどしないのは素晴らしいが、それは巧みな濾過のおかげであろう。紹興酒にならない熟成には濾過が必要という蔵元の判断と思われる。
しかし、その濾過によってボディの厚みというか、日本酒として大切な部分が除去されてしまっている気もする。とりわけ「無濾過」に慣れてしまっていると、どこか薄っぺらいというか、人工的な吟醸酒という感じがしてしまうかも。しかし、黒龍にフルボディを求めるのは野暮というもの。完成度の高い黒龍らしい端麗旨口を楽しむべき。家飲み