山海に囲まれた呉市仁方町で「寳劔」を醸すのは、5代目杜氏の土井鉄也氏。鋭い眼差しとピシリとした立ち振る舞いが精悍な造り手である。酒の味わいはそんな蔵元杜氏を体現したような酒質。ファーストタッチは穏やかだが、疾走感があるシャープなキレ味が特徴で、スッと口の中で消えていく細やかな余韻も見事だ。 この酒質は、広島の日本酒を大きく発展させた三浦仙三郎が明治時代に生み出した軟水醸造法にならい構築。甘口になりやすい地元の軟水を使い、土井氏が試行錯誤の上に完成させた独自の辛口酒である。年ごとに酒質のトレンドが変化する日本酒の世界でも、「寶釼」は一貫して辛口酒を追求し、『SAKE COMPETITION』など数々のコンテストで上位を獲得するなどその成果は実を結んでいる。 今も着実に酒質を向上させて年々キレ味に磨きをかけ、地元のみならず全国に熱烈なファンを広げている。そんな「寳劍」に合わせるならば、魚介類とりわけ白身魚の刺身や昆布締め、しゃぶしゃぶなどがおすすめ。繊細な白身魚の旨みと端正な酒が互いを引き立てる、デリケートな組み合わせを楽しめる。(山内聖子)
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宝剣の銘柄一覧
銘柄 |
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純米吟醸 愛山原料米:愛山、精米歩合:50%、アルコール度:16% |
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宝剣の酒蔵情報
名称 | 宝剣酒造 |
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特徴 | 1872(明治5)年創業の「宝剣」を醸す酒蔵。土井忠明社長の長男である5代目・土井鉄也氏――通称“ドイテツ”。地元でヤンチャをしていた頃、パンチパーマで酒の配達を手伝っていたという彼が21歳の時、父が病に倒れて酒蔵を継承することに。「宝剣まずいけん」と広島弁で揶揄されている現状を知り奮い立ち、独学で酒造りをした。 2004(平成16)年、全国利き酒選手権での優勝をはたした土井氏のテイスティング能力(嗅覚・味覚)は元来秀でたものがあり、蔵を継いでから4年後には全国新酒鑑評会で金賞を受賞するまでに成長。別銘柄を立ち上げ主力にするのではなく、あえて「宝剣」という銘柄をふたたび掲げることで「宝剣旨いけん」といわせしめた。「究極の食中酒」をめざした酒は、辛口の設計のなかにも柔らかな口当たりを感じる。1日20トンともいわれる豊富に湧き出る野呂山の伏流水は、120年前に野呂山に降った雨雪が時間をかけて濾過されたもので、「宝剣名水」と名付けられ県内屈指の名水として有名。この名水を仕込み水として酒づくりに利用することで、味わいの裏側に柔らかさが出てくる。 原料米は、製造の約90%を地元・広島の酒造好適米である八反錦を使用している。一般に流通する市販酒の実力を競うコンテスト「SAKE COMPETITTION 2019」純米酒部門で第1位を受賞。逆境を意地と気合いで乗り越えてきたドイテツと「宝剣」の快進撃はこれからも続くのだろう。(関 友美) |
酒蔵 イラスト |
![]() (山本浩司氏撮影+加藤忠一氏描画) |
銘柄 | 宝剣 鬼おどし 芸酒 |
HP | |
所在地 | 広島県呉市仁方本町1丁目11−2 |
地図 |
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