東北を代表する蔵元、山形の港町・酒田にて古くからの製法、生もと造りで「初孫」を手掛けてきたことで有名な東北銘醸。現在の杜氏は後藤英之氏が務める。初代•佐藤久吉氏は立地を活かし海の玄関として回船問屋を営んでいたのだが、旧庄内藩の名家で酒造りを学び、明治26年に酒蔵を始めた。初孫に次いで世に送る「魔斬」は酒田の名産品である切れ味の鋭い小刀のことで、古くから漁師が愛用してきた伝統品である。「魔を斬る」の意から厄除けの縁起物としても親しまれてきた。その名を冠したこの酒質は辛口で、地元の美山錦を旨味を奥に潜めながら後味の切れはまさに研ぎ澄まされた刃のよう。当初は純米酒のみのシリーズだったが、2017年に「摩漢(まかん)」の名で登場した生もと超辛口純米大吟醸も好評につき魔斬シリーズとして復活して加わり、現在はすっかり人気酒として定着、ラベルの色から「黒魔斬」の愛称で親しまれる。