しろこさんさん(2021年12月30日)の日本酒「浅茅生」レビュー

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浅茅生 (あさじお) 日本酒 滋賀 平井商店

「浅茅生」のレビュー(しろこさんさん)

滋賀県 / 平井商店 / 浅茅生

3.44

レビュー数:111

  • 2021

    12/30

    しろこさん しろこさん

    満足度


     夏に平井商店の「浅芽生 湖雪」を飲んだ時、酒屋のオッちゃんに「冬に出る『熊蟄穴(くまあなにこもる』はうまいよ〜」と言われた。(「湖雪」のレビュー参照)


     冬になってお店から「入ったよ」と言われたので、素直に買う。


     夏に一緒に飲もうと思った相手とは、どう考えても今、距離を置くべきだと世界中が言ってる気がする。わかってる。

     思い出をぐるぐる巻きに封印し、近づかないようにすれば、忘れられる。

     冬ごもりの熊のように引きこもり、ひたすら眠って哀しみの吹雪をやり過ごそう。

     春が来たらのっそり穴から這い出して、あーいい夢見たけど忘れちゃった、と笑おう。


     ……そう決意したのに。


     飲み仲間としてお酒の情報をやり取りするうちに、少しずつ引き寄せられていく。

    「王冠飛び出し注意って書いてあるやん」
    「自分で開けるの無理でしょ」
    「かなり飛ぶんちゃうかな」

     向こうは「積善 初しぼり」をチラつかせながら、そっちの穴に引き込もうと誘ってくる。

     結局、酒びんを抱えて同じ部屋で向き合ってる私、何をしてるんだろう。

     間合いを詰められないように言葉と態度で棘(トゲ)を立てて、「開けて」と「熊蟄穴」を差し出す。

     その人は嬉しそうに、吹きこぼれたら困るから、とキッチンでふたをそっと開ける。

     王冠は飛ばず、お酒があふれ出ることもなく。

     はい、じゃあ開けてもらったから帰りますね。

     そんな強さがあったら、そもそもここにいない。

     開けたて、美味しいよね。

     散々2人で飲んだ「ぷちしゅわ胸キュン系」。熊が冬ごもりを始める寒い時期に作る、今の季節だけのフレッシュなお酒なので「今飲むのが最適」なのはわかる。

     おりがらみで甘さ旨さが顔を出しつつキレも良く、すいすい飲めてしまう。

     ちょっとだけ注いで、のはずが気がついたらビンが空になり、意志の力も判断力もとろけて、ぬくぬくした穴で寝過ごして飛び起きたりした。

     お酒のせいにして始まり、会い続け、終われない。

     古今亭志ん生の小噺をふいに思い出す。

    「お前さん、なんだってあんなダメな亭主といっしょにいるんだよう」
    「だって寒いんだもの」

     春になるまで、答えを先送り。

     ……だって、寒いんだもの。

    特定名称 純米吟醸

    酒の種類 無濾過生原酒

    テイスト ボディ:軽い+1 甘辛:普通

    浅茅生のレビュー by_しろこさん

    浅茅生 (滋賀 / 平井商店)

  • ブヒ
    ブヒ 2022年1月15日 07:21:03

    山本文緒さんみたいですね。

  • しろこさん
    しろこさん 2022年1月16日 10:18:50

    ファンの方に申し訳ない気持ちもありますが(汗)、嬉しいです。

  • ブヒ
    ブヒ 2022年1月16日 12:00:49

    姉が持っていたので私も何冊か短編を読みました。素敵です。

  • しろこさん
    しろこさん 2022年1月18日 18:16:54

    久しぶりに読んでみます!

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