冬場はマイナス20度にまで冷え込む、北海道大雪山系のふもとに位置する上川郡上川町に2016年新設された酒蔵。代表の塚原敏夫さんが休眠中の三重にある酒蔵と出会い、蔵のかたが上川町の写真を見て「こんな所で日本酒を造ったら…」と呟いたのをキッカケに、クラウドファンディングで資金を集め建設着工、その後免許を三重から北海道に移して現在の形になった。北海道産「彗星」「吟風」「きたしずく」と、顔がわかる生産者がつくる3種類の米を使って純米、純米吟醸、純米大吟醸のみをつくり、日本酒を通して北海道地域ブランドを世界へと発信することを目標とする。 杜氏をつとめるのは、川端慎治さん。石川県、福岡県、岩手県、山形県、群馬県で酒づくりを経験したあと、故郷の北海道の酒蔵(金滴酒造)で杜氏になり、北海道産酒造好適米「吟風」100%で醸した酒で全国新酒鑑評会金賞受賞するなど、北海道にとって革新的な功績を残した。その後、上川大雪酒造「緑丘蔵」スタートとともに杜氏に就任した。「飲まさる酒(北海道弁でついつい飲んでしまう酒)」をテーマに掲げ、あくまでも地元優先、家庭で扱いやすいようにと四合瓶中心のラインナップを展開する。川端杜氏の技術力、北海道産米の品質向上と相まって今後を期待される注目蔵である。(関 友美)